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Threadsは本当にActivityPubをサポートするか?

Threadsは本当にActivityPubをサポートするか?

Threadsは正式発表前の段階から、ActivityPubのサポートが機能の一大特徴の一つとして挙げられていました。Meta公式サイトのThreads発表の記事内にもActivityPubを近い将来サポートする事が記載されています。

しかし、アメリカの企業は、方針や計画を変更をする事は珍しくありません。中長期的な視点で考えた場合、分散型のソーシャルネットワークは大きなうねりとなる可能性が高いですが、現時点でMetaが分散型ソーシャルネットワークをサポートするメリットはあまりないのが現実です。

ActivityPubのサポートは、Threadsの市場投入時の機能からは外れています。後からActivityPubをサポートする予定であっても、その他の機能拡充や改善など行う事は多くある中で、ActivityPubサポートの優先度は低くなりがちと推測しています。

ThreadsがActivityPubをサポートする事についての可能性とサポートした場合に市場やユーザーに与える影響について考察します。

Meta Threads発表記事内のActivityPubサポートについての記述

Metaの公式サイトThreads発表記事内のActivityPubサポートについての記述部を訳して以下に抜粋し引用します。

Threads発表記事内のActivityPubサポート記述部 日本語訳

間もなく、Threadsを近代のWebを強化する開かれた標準規格を担当する団体World Wide Web コンソーシアム(W3C)によって策定されたオープン・ソーシャル・ネットワーキング・プロトコル、ActivityPub と互換性があるものにする予定です。これにより、Threadsは、MastodonやWordPress等、ActivityPubプロトコルをサポートする他のアプリと相互運用できるようになり、今日のほとんどのソーシャル アプリでは不可能な新しいタイプの接続が可能になります。 Tumblrを含む他のプラットフォームは、将来的に ActivityPub プロトコルをサポートする計画を共有しています。

我々は、Threads上の視聴者を更に制御できるようにすることに取り組んでいます。我々の計画は、ActivityPubで動作するようにする事で、Threadsの使用を停止し、コンテンツを別のサービスに転送するオプションを提供することです。我々の理念は、互換性のあるアプリを使用している人々が、Threadsアカウントを持たずにThreads上の人々をフォローしたり交流したりできるようにする事。そして、逆も可能にする事で、多様で相互接続されたネットワークの新時代の到来をもたらすことです。 これは、Threadsで公開プロフィールを持っている場合、他のアプリから投稿にアクセスが可能になり、追加の労力無しに新しい人々にリーチできるようになる事を意味します。非公開プロフィールをお持ちの場合は、Instagramでの体験と同じ様に、あなたをフォローしてやり取りしたいユーザーをスレッド上で承認できます。

オープン・ソーシャル・ネットワーキング・プロトコルの利点は、人々が相互にフォローし合う事をはるかに超えたものであるところです。開発者は、他のオープン・ソーシャル・ネットワークに簡単に接続できる新しいタイプの機能とユーザー体験を構築でき、イノベーションと実験のペースを加速できます。互換性のあるアプリは、各々独自の集まりの基準とコンテンツモデレーション規約を設定できるため、人々は自分達の価値観に合った場を自由に選択できます。我々は、EメールやWeb自体を管理するプロトコルと似たように、この分散型のアプローチはオンライン プラットフォームの将来において重要な役割を果たすと信じています。

Threads は、オープン・ソーシャル・ネットワーキング・プロトコルとの互換性を想定した Metaの最初のアプリです。我々はこの急速に成長する相互運用可能なサービスのエコシステムに参加することで、Threadsがユーザーが利用しているアプリに関わりなく、彼らの集いの場所を見つけるのに役立つことを望んでいます。

Soon, we are planning to make Threads compatible with ActivityPub, the open social networking protocol established by the World Wide Web Consortium (W3C), the body responsible for the open standards that power the modern web. This would make Threads interoperable with other apps that also support the ActivityPub protocol, such as Mastodon and WordPress – allowing new types of connections that are simply not possible on most social apps today. Other platforms including Tumblr have shared plans to support the ActivityPub protocol in the future.

We’re committed to giving you more control over your audience on Threads – our plan is to work  with ActivityPub to provide you the option to stop using Threads and transfer your content to another service. Our vision is that people using compatible apps will be able to follow and interact with people on Threads without having a Threads account, and vice versa, ushering in a new era of diverse and interconnected networks. If you have a public profile on Threads, this means your posts would be accessible from other apps, allowing you to reach new people with no added effort. If you have a private profile, you’d be able to approve users on Threads who want to follow you and interact with your content, similar to your experience on Instagram.

The benefits of open social networking protocols go well beyond the ways people can follow each other. Developers can build new types of features and user experiences that can easily plug into other open social networks, accelerating the pace of innovation and experimentation. Each compatible app can set its own community standards and content moderation policies, meaning people have the freedom to choose spaces that align with their values. We believe this decentralized approach, similar to the protocols governing email and the web itself, will play an important role in the future of online platforms. 

Threads is Meta’s first app envisioned to be compatible with an open social networking protocol – we hope that by joining this fast-growing ecosystem of interoperable services, Threads will help people find their community, no matter what app they use.

Introducing Threads: A New Way to Share With Text

ThreadsをActivityPubサポートする事で得られるMetaの利点は?

上で紹介したMetaのThreadsがActivityPubをサポートする事についての説明は、基本的に分散型ソーシャルネットワークの利点・長所について該当するものです。

分散型SNSの現状

上記引用部の締めくくりに「我々はこの急速に成長する相互運用可能なサービスのエコシステムに参加することで、Threadsがユーザーが利用しているアプリに関わりなく、彼らの集いの場所を見つけるのに役立つことを望んでいます。」と述べていますが、現時点で相互運用可能なサービスはまだ急速に成長していると言う程、明確な市場動向にはなっていません。

WordPressは、ActivityPubのプラグインを買収し、プラグインによるサポートをベータ版として開始していますが、プラグインのアクティブインストール数は3000(以下に添付するプラグインの概要とステータス部をご参照下さい。)と少ないです。現時点でActivityPubに対応したWordPressサイトは極めて少数に留まっています。

WordPress ActivityPub プラグインの概要とステータス
WordPress ActivityPub プラグインの概要説明

分散型ソーシャルネットワークとしては、Mastodonが有名でActivityPubをサポートするプラットフォームのユーザー数も多いですが、Mastodonのユーザー数は2024年6月末の時点で約722万、アクティブユーザー数は124万です。(ソース:https://mastodon-analytics.com/

Threadsは、市場投入後、1週間経たずにユーザー数が1億を超えました。Metaにとって、現時点で、ThreadsにActivityPubサポートを追加する事で得られるビジネス的なメリット(例:ユーザーの獲得を促進、新規ユーザーの開拓など)はほとんどないと思います。

ActivityPubの将来性

ActivityPubをサポートしたサイトやブログは、Mastodonなどのアカウントからフォローする事ができます。フォローするとサイトやブログで新規に投稿した記事などの情報がMastodonアカウントのタイムラインに表示されます。また、Mastodonのアカウントから記事にコメントしたり、サイト運営者と交流なども将来的にはできるようになります。

WordPressのサイトは、プラグインを使えば、極めて簡単にActivityPubに対応する事ができます。本サイトは、プラグインを使用してActivityPubをサポートしています。

現時点(2023年8月前半)で、WordPressは、CMS(コンテント・マネージメント・システム)の市場シェアは63.1%、全てのウェブサイトの43.1%の市場シェアを持っています。(ソース:w3techs.com

ウェブサイトで圧倒的なシェアを持つWordPressを使用するサイトにおいて、プラグインを利用するだけで簡単にActivityPubに対応できる事は、ウェブサイトでActivityPubに対応し普及するための土台は既にできている事を意味します。

ThreadsでActivityPubに対応したサイトをフォローしたり、Threadsからサイトとコメントやメッセージなどのやり取りの交流ができる事は、ユーザーにとっての利便性を高める事にも繋がります。ユーザーの利便性を高める事は、Threadsの魅力を高める事に直結します。

この様なオープン・ソーシャル・ネットワークの体験は、実際に試してみると良く分かると思います。Mastodonアカウントをお持ちの方は、よろしければ、本サイトをフォローしてみて下さい。

Mastodon アカウントからWordPress サイトの著者のインスタンスにアクセスしフォローする手順

ThreadsがActivityPubに対応した場合、WordPressでのActivityPubサポートにも一気に拍車がかかる可能性があります。更にActivityPubのサポートを予定しているMeidumやTumblrなどでも対応を積極的に進める事にも繋がります。

MetaにとってActivityPubをサポートする事により、市場リーダーとして、分散型ソーシャルネットワークに早期参入し、市場シェアとマーケットリーダーの地位を確保した上で、相互運用可能なサービスのエコシステムに参加、市場と事業を大きく拡大し伸ばしていく戦略的な機会となる可能性も十分にあります。

MetaはThreadsでActivityPubをサポートする?

冒頭で述べた様に、アメリカの企業は方針や計画を変更をする事は珍しくありません。現時点で、MetaにとってThreadsでActivityPubをサポートする利点は、短期的にはほとんどないです。Threads自体の機能もまだ足りない所も多いため、取り組む必要のある事項は多数あります。現在の状況で、ActivityPubのサポートは優先度が低くなっていたとしても不思議はないです。

その一方で、MetaがActivityPubをサポートする気がある事を感じさせるような事もあります。

Threadsプロフィールにrel=me リンク属性追加

Metaは、ThreadsでMastodonのリンク認証に使っている rel=me リンク属性を追加しました。この機能追加は、対応自体はかなり簡単にできるのですが、ActivityPubに対応する気が無ければする必要はないため、MetaはActivityPubの対応をする気がある事を示す材料となります。

Threads プロフィール画面にActivityPubサポート予定のメッセージ表示

Threadsのプロフィールページのハンドル名の右に表示されるthreads.netをタップすると、画面下部にメッセージウィンドウが表示されます。

表示されるメッセージ:

threads.net
Soon, you'll be able to follow and interact with people on other fediverse platforms, like Mastodon. They can also find you with your full username @blogginglifejp@threads.net.

日本語訳:

まもなく、Mastodon などの他のフェディバース プラットフォーム上の人々をフォローしたり、交流したりできるようになります。 またドメインを含むユーザー名、@blogginglifejp@threads.net(例) を入力して検索することで他のプラットフォームのアカウントからあなたのアカウントをを見つけることもできます。

内容は、基本的にThreadsの発表記事内の説明と同じですが、わざわざアプリでもActivityPubサポートについての予定がある事を表示している事も、サポートする予定である事を示唆する材料の一つです。市場投入時に入れていたメッセージ表示機能でそれを更新していないだけ(言葉だけ)の可能性もあります。😉

まとめ

MetaがThreadsでActivityPubをサポートする事は、市場においてかなり大きな意味を持ちます。ただし、分散型のソーシャルネットワークという概念は、一般ユーザーには理解しづらい所もあるので、サポートしても本格的に普及利用されるまでには時間がかかるかもしれません。

個人的には年内中にThreadsがActivityPubをサポートする事を願っています。

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