
2018年10月1日にGoogleは、AdSense 公式ブログにこれからの15年に向けた取り組み を発表しました。将来へ向けた取り組みは、以下の3つです。
- マシーンラーニング機能による広告運用、管理、レポーティング、透明性を提供。
- 同業や業界と比べたパフォーマンス評価などを含む新しい支援機能。
- より高い品質の広告を提供、運用することを含む全ての人に機能する広告エコシステムの運営。
上記取り組みに関して、詳しくはAdSense 発表記事の日本語訳と補足説明 記事をご覧下さい。
AdSenseの今後についての考察
以下、今回発表されたAdSenseの取り組みと市場に与える影響についての考察です。
自動広告の普及と進化
AdSense 自動広告は、マシーンラーニングを利用して、広告を自動的に設置、表示します。最適な広告設置や広告フォーマットは、サイトや訪問するユーザーによっても異なることがあります。今後、広告設置場所、表示するフォーマットと収益性について、サイトごとに分析評価して、最適化を行うような流れが強まってくると予想しています。
AdSense 自動広告が発表され、市場に投入されたのは2018年2月後半です。既に多くのサイトで利用されています。自動広告の利用率は今後さらに増えてくることは確実です。
自動広告は、マニュアルで設置した広告ユニットと併用して利用することができます。現在は、マニュアルと自動広告の両方を利用して広告表示しているサイトが多いと思います。自動広告がさらに進化していくにつれ、マニュアルによる広告設置は少なくなって行くことが予想されます。将来は、全ての自動広告で収益化を行うサイトが多くなると予想しています。最終的には、AdSenseは、全て自動広告に移行することになるかもしれません。その可能性は高いです。
収益性評価ベンチマークの登場
今回のAdSenseの発表の中には、運営するサイトの収益性を似た分野のコンテンツを取り扱うサイトや取り扱う分野によるサイトの平均などと比べるレポート機能を提供する話が含まれています。
運営するサイトの収益性が、他のサイトと比べて高いのか低いのか気になるサイト運営者は少なくないと思います。自分のサイトが似たようなコンテンツを取り扱う他のサイトと比べて、収益性がどうかを知ることができることは、運営者に大きな付加価値を提供することになります。
自動広告の普及と収益性評価ベンチマークが与える影響
運営するサイトの収益性を向上させたいと願うユーザーは多いと思います。ネットには、収益パフォーマンスを公開したりしているサイトのページもあります。AdSenseのCTRなどの収益指標を公開することは、利用規約で禁じているのですが、公開するサイト運営者も少なくありません。
収益パフォーマンスを公開する理由は、興味を持って訪問するユーザーが多く、アクセスアップに繋がったり、収益性を向上させるノウハウを教えますというようなアプローチで商材を販売し、利益を得るビジネスモデルにつなげるような目的があるためです。
CTRを高めるための最適な広告設置方法、XXの広告フォーマットを設置したら、収益が爆上げしたというような方法論や体験談を掲載するサイトもネットには多く掲載されている印象があります。
実際の所、収益性の高い広告フォーマットや設置方法はサイトによって異なる場合が多いです。あるサイトで効果がある方法は、別のサイトでは全くなかったり、場合によっては逆効果になることもあります。しかし、現実的には、収益を上げるための方法や体験談に興味を持つ人は多いため、それらに関する話題を取り上げるサイトも多いです。
特定の広告フォーマットを作成してマニュアルで設置するよりも、自動広告でAdSenseに任せる方が、収益性が高くなることが多くなったり、自動広告による収益性が高いことが明確になってきたとしたら、AdSense 収益性の向上テクニックの販売の需要は低くなります。その手のビジネスやサイトがなくなることはないと思いますが、自動広告が普及してパフォーマンスも良いとの認識が浸透した場合、AdSenseに関連した収益性や収益アップについての話題やセミナーなどの話は減少することは確実です。
似た分野のコンテンツを取り扱う他サイトとの収益パフォーマンス比較情報なども得られるようになった場合は、収益を公開しても、興味を持つユーザーは減少します。収益を公開しているサイトの多くは、アクセスを得るためと思われるため、同様に収益を公開することも減ってくると思います。
全面自動広告利用や収益化ベンチマークの普及はいつになる?
自動広告を全面的に利用するサイトが圧倒的に多くなる日はそれほど先のことではないと予想しています。恐らく、3年後にはほとんど全てのユーザーが自動広告を利用することになると考えています。マニュアルでの広告設置が皆無になることはないと思いますが、マニュアルで広告を設置するサイトは限定されてくる可能性が高いです。
関連コンテンツはマニュアル設置も残る!?
関連コンテンツに関しては、表示形式のカスタマイズ機能などを利用することで、設置方法の差別化をユーザーが行うことができます。表示する行列数を変えると、ページの雰囲気も変わります。パソコンページでは、関連コンテンツをサイドバーに設置することもできます。
AdSense 関連コンテンツの表示形式カスタマイズ設定方法
自動広告が普及しても、関連コンテンツはサイト運営者の方で表示形式を選んで、設置することは残る可能性が高いと考えています。一方で、関連コンテンツに関しても、標準的な表示形式(デフォルト)で記事下に表示するのは、自動広告で対応される可能性も少なくないと思います。
変化は既に進行中
実際の所、AdSenseによる収益化についてのサイトの変化は既に始まっており、進行中です。「収益を上げるための方法」、「CTRを高めるベストな広告設置」などと言う話は、現在も興味を持つサイト運営者は少なくないと思いますが、サイト訪問者の多くはモバイル端末でサイトを訪問するようになっています。
モバイルページでの広告設置場所は限定されます。基本的な設置は、記事内と記事下です。記事内の広告は収益性は高いので、記事内広告をマニュアルで設置するか、自動広告を利用していれば、通常、記事内に自動的に挿入して表示します。後は、自動広告で、アンカー広告やモバイル全画面広告を利用するかしないかをサイト運営者が選ぶだけです。
中上級になると、関連コンテンツやリンクユニットの設置も加わってきますが、関連コンテンツのモバイルでの設置は、記事下が基本です。リンクユニットは、サイトによる収益性の差が大きいです。当たり前のことですが、リンクユニットを利用すると、必ず収益性が高まるとは限りません。
一般的には、モバイル端末での訪問比率は7割以上のサイトが多いです。多いところではモバイルが8割以上です。モバイルの訪問が多いサイトでは、広告コードの設置方法などによる収益性の差はほとんどありません。
パソコンページでは、広告の設置方法の選択肢はまだ多くありますが、どの方法が適しているかは、パフォーマンスレポートを分析したり、A/Bテストなどを行なって効果の高い方法を選んでいくようなアプローチとなります。実際の所、詳細を分析したり、A/Bテストを行うなどするための時間と労力に見合うリターンを得ることのできるサイトは少ないです。(アクセス数が相当(大まかな目安で月100万PV程度)ある場合は、依然として重要です。)
モバイル端末が普及して、サイトの訪問もモバイルが圧倒的に多くなり、自動広告も普及している現在、既に「収益アップの秘訣」、「収益を2倍、3倍にする方法」と言うのは、AdSenseにおいては実在しないと言えると思います。
自動広告のさらなる普及と進化、収益パフォーマンスベンチマーク(比較評価)機能が提供されるようになった場合には、収益性を高めるために必要なことへのユーザーの認識も大きく変わってくると思います。AdSenseの発表にもある通り、パブリッシャーに求められる重要なことは、魅力ある独自性の高い価値あるコンテンツの作成です。収益性や広告設置などはシステムに任せて、魅力ある記事作りに専念することが進行してくると予想しています。
追記:サイト単位での審査導入開始について
2018年10月から、一部のユーザー(新規ユーザーが主)に新しい仕様のサイト管理機能が提供開始となりました。新しい仕様についてのヘルプページの説明から、AdSenseを利用するサイトを追加する際に審査が行われることが記載されています。サイト単位での管理機能の拡張と審査導入は、本記事で紹介した自動広告のさらなる普及と収益性ベンチマークなどの機能などとも関連してくると推測しています。詳しくは以下の記事をご覧下さい。
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