
2017年12月後半以降、サイトのAdsense 収益が大きく下がっている場合は、「ブランド・プロテクション」と呼ばれるAdSense 広告クローラーがページを解析した後に広告を配信する仕様変更による影響を受けている可能性が考えられます。どのような影響を受けているのかを理解し、状況に応じて対策を検討することも必要となる場合もあります。新しい記事や既存の古い記事に広告が表示されないことが多くなっていると思われている場合も、状況を客観的に把握し対策を検討することは同様に重要です。
目次 - Table of Contents
広告配信仕様変更による影響を把握する指針
2017年12月半ばから18日にかけて導入されたブランドプロテクション、クローラーがコンテンツを解析していないURLには広告を配信しない仕様による影響を理解するために参考となる指針はカバレージ(Coverage / 一致率)です。
広告リクエストとカバレージ
ページに広告コードが設置されている状態で、ブラウザーでページを表示すると、広告コードのスクリプトが実行され、広告リクエストをAdSenseのシステムに送信します。広告リクエストは、ページに設置している広告ユニットがそれぞれ行います。AdSenseのシステムは、広告リクエストを受け取ると、その広告枠に適した広告を選択し、広告を配信します。
広告リクエストに対して最低1つの広告が表示された場合の割合(パーセンテージ)を示す指標が、カバレージ(Coverage)です。カバレージを見ることで、広告配信仕様変更による具体的な影響、どの程度の割合で広告が表示されないかが分かります。
カバレージの平均値、目安
通常、AdSenseの広告配信システムが正常に動作している場合、カバレージは100%、または100%に近くなります。特に何か問題がないのであれば、カバレージは90%後半程度が一般的な目安の値です。
広告掲載率を設定している場合は、カバレージは広告掲載率の設定値に近くなります。
カバレージはサイトによっても異なります。 以下は、AdSense パフォーマンスレポートのサイト別のカバレージです。
更新が滞っていたり、ほとんど訪問がないサイトは、ブランドプロテクション導入以降、カバレージが非常に低くなることがあります。
サイトへの訪問が特定の記事(人気記事)の比率が高いサイトや固定読者を多く抱える日記系のブログの場合は、カバレージは90%後半、100%に近いことが通常です。
以前と比べて、カバレージが大きく下がっている場合は、分析を行ない、状況に応じて対策を検討することをお勧め致します。
カバレージでの分析を行う場合の注意事項
ページで広告が1つも表示されなかった場合、カバレージの指標は算出されません。計算上、0を割ることはできないためです。広告が1つも表示されないような場合は、カバレージの指標には含まれないことを考慮する必要があります。
同じカバレージのパーセンテージの値でも、広告が表示されない状況も発生している場合とそうでない場合では、収益においての影響は大きく異なります。広告が表示されない場合は、カバレージ計算の対象から除外されるため、カバレージでは同じでも、広告が表示されないURLが多ければ、収益面で大きな差となるためです。
カバレージの推移分析例
以下は私の運営するサイト全体の2017年9月1日から2018年2月2日までのカバレージの推移のグラフです。
ブランドプロテクションが導入される前の2017年12月前半以前、カバレージは95%以上で安定して推移していました。ブランドプロテクションが導入された12月18日からカバレージは下落し、平均で91%前後程度になっています。
1月半ばにBloggerで運用しているサイトをhttps化しました。httpからhttpsに移行した場合、別ドメイン(URL)として扱われるため、クローラーの訪問と解析が行わる間、広告配信が行われない状態や一部の広告しか表示されない状態となるため、カバレージは大きく下落します。このBloggerのサイトはメインサイトのため、運営するサイト全体のカバレージ指標でも大きく下落しています。
全体の平均としては、2017年12月18日を挟んで、カバレージは5%程度の下落しています。カバレージでの数値分析を行う場合の注意事項として、広告が表示されない(広告リクエストに対して配信された広告が0)URLが多い場合、実際の収益へのマイナス要素は大きくなることも考慮する必要があります。カバレージに加えて、収益の指標も合わせて比較分析することで、影響と状況をより良く理解することに繋がります。
ブランドプロテクション導入後、カバレージが下落した場合の対策
ブランドプロテクション導入による収益の影響はサイトによる差が大きいです。ロングテール型で各記事へのアクセスは少ないが多くの記事がサイト上にある場合は、収益が大きく下落する場合があります。
2017年12月後半以降、収益が大きく落ち込んでいる場合以下の様な選択肢があると思います。
- しばらく様子を見る。
- 記事をまとめて記事当たりのアクセス数を増やす。
- AdSense以外の広告を設置する。
AdSenseの対応、システムの改善を待つ
広告配信仕様変更直後は、新規投稿の記事に広告が表示されるまでに時間がかかっていましたが、最近は広告が表示されるまでの時間は短縮されています。現在は、一部の広告に関しては、遅延なく表示されるようになっています。
ロングテール型のサイトに対する広告配信についても今後、AdSense側で何らかの対策、改善が取られる可能性が高いと考えています。そのため、しばらく様子を見るのも選択肢の1つです。
既存の記事をまとめたページを作成する
投稿記事数が多い場合、複数の記事を1つにまとめることも有効な対策となります。既存の複数の記事をまとめて新しいページを作成して、既存のページはまとめた記事のページ1, 2, 3の構成にして、全てが表示されるページに対してcanonicalタグで指定を行います。
上記のアプローチを取ると、まとめた記事へアクセスを集約することによって、統合した記事からの広告リクエストの発生頻度とまとめたページへの広告クローラーの訪問頻度を高める効果が得られます。canonical指定をすることで、既存の記事の検索順位を継承することができます。(canonical指定をしても、最終的な判断は検索エンジンのアルゴリズムが行います。)
または、記事を完全に統合して1つにし(既存の記事は削除して、新しい記事に統合する)、既存の記事URLから新しくまとめた記事へのリダイレクトを行うのもオプションとしてあります。こちらは記事の完全な統合です。
まとめた記事を投稿することで、広告クローラーの訪問も得ることができるので、ブランドプロテクションの影響で広告が表示されなくなっているページには、有効な措置です。
しかし、記事を簡単にまとめることができるとは限りません。新たな手間、工数も発生します。時間はかかるものの、状況によっては収益改善の可能性は高く、効果は見込めるので有力な選択肢となる場合もあります。
AdSense以外の広告を設置する
ブランドプロテクションの影響で、大きく収益を落とした場合は、AdSense以外の広告を設置して、収益パフォーマンスを比較してみるのも1つのオプションです。
全てのページの広告を入れ替えるのではなく、一部の広告を入れ替えるのはリスクは低く、比較的簡単にできるので、試してみる価値はあると思います。ただし、一般的にAdSenseの収益パフォーマンスは他の広告よりも高いので、ロングテール記事での相当数のアクセスがないと他の広告での収益はほとんど見込めないと思います。
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